コーティングプロセスの設備の安定性をどのように確認するか?
実績|コーティングプロセスの設備の安定性をどのように確認するか?
半導体製造プロセスにおける塗布・成膜では、異常な振動が発生すると塗布ムラが生じる可能性があります。
どのようにして設備の測定を通じてプロセスの安定性を確認すればよいのでしょうか?
コーティングの方法
コーティングの方法は大きく分けて 乾式コーティング(dry coating)と 湿式コーティング(wet coating)があります。
一般的には、塗布によって実現されるコーティング技術が多く利用されています。
特に湿式コーティングは真空環境を必要とせず、大量生産や高速生産に適しているため、工業分野で広く活用されています。
コーティング液を基材上に均一に塗布し、その後の乾燥・硬化プロセスを経て固体薄膜を形成します。
スピンコーター(spin coater)の原理
スピンコーティングは湿式コーティングの一種であり、基材(シリコンウェハーやその他の平滑な物体)を真空吸着で固定し、その中心部にコーティング液を滴下します。
その後、遠心力を利用して液体を均一に分散させ、余分な液体を除去しながら薄膜を形成します。
回転速度、回転時間、乾燥速度などの条件が、膜厚の均一性に影響を与えます。
さらに、プロセス中に設備が異常な振動を起こすと、塗布の不均一を引き起こしやすくなります。
ソリューションと監視の説明
VMS-PH 設備動的品質分析装置
VMS-PH の動的分析機能を活用し、コーティング装置およびノズルの回転速度や動作状態を測定。
異なる回転速度での振動信号を比較することで、プロセスが安定しているかどうかを評価できます。
また、各動作の監視・診断を行い、どの動作で異常や不安定な状態が発生しているのかを特定します。
これにより、事前の予知保全を実施し、予期せぬ異常を未然に防ぐことが可能になります。
測定状況
1. コーティング装置 STAGE の加減速運転状況の比較
• 測定位置:STAGEの動作方向と平行な大理石テーブル上
• 測定機械:001
• 測定方法:プロセス速度 80、120 における動的解析の比較
• 測定目的:加減速時の差異を比較
回転速度 80

回転速度 120

プロセス速度 120 では、コーティングの動的信号が 80 よりも高くなる傾向が見られる。
2. コーティング装置ノズルの異なる速度による運転状況の比較
• 測定位置:ノズルのリニアガイド垂直方向の位置(磁気吸着)
• 測定機械:002
• 測定方法:速度 80、120、180、240 における違いを比較
• 測定目的:加減速時の差異を比較
回転速度 80

回転速度 120

回転速度 180

回転速度 240

測定結論
VMS-PH の動的解析機能により、装置の動作に伴う動的信号を測定・比較することで、
不安定性、摩耗、劣化、損傷、共振などの状態を把握し、装置の微小な変化を事前に検出できます。
これにより、装置の予知保全を実現することが可能となります。